長姫と鈴虫

(伊那市東春近土蔵洞)

図は『上伊那郡誌』より
向かって右から長姫・おちょう・六部の石塔

おちょう様と鈴虫
(伊那市東春近土蔵洞)

 昔、おさ姫という公卿の娘がいた。幼くして実の母親に先立たれたあと、継母に育てられたのだが、その仕打ちのつらさに耐えかねて乳母のおちょう共々、東の国に落ちのびることにした。しかし、幼い姫君のこと、長旅の苦労がたたって信濃の国伊那の郡にたどり着く頃には、病にかかり動くことすらできなくなり、都から持参した鈴虫を慰めに、おちょうが見取る中、とうとう息を引き取ってしまった。
 悲しみにくれる中、おちょうもその後を追って自ら命を絶ったという。おさ姫が京の都から持参した鈴虫は、おちょうの手により野に放たれ、それが今に鳴き続けているのだという・・・・
(『長野県上伊那誌』民俗篇 上 による)

土蔵洞の長姫堂跡

深妙寺の長姫堂

 伊那市西春近の深妙寺という日蓮宗のお寺にもこれと同じ言い伝えがあり、「長姫堂」があって長姫が供養されている。

長姫堂(左)
長姫天女の位牌